シリーズ全編の劇場での振り返り上映会実施を記念して、壬氏役・大塚剛央さんと羅漢役・桐本拓哉さんのスペシャルインタビューを公開🍃
――第1期、第2期を通して演じてこられて、今、お二人はご自身の役に対してどのような印象をお持ちですか? 最初の頃から印象が変わった点などがあったら教えてください。
大塚 壬氏は第1期、第2期を通して見え方の変化が大きい人物なので、当初からそれを見据えて、どこまで彼の人物像を見せていくか、長沼範裕監督(第2期では総監督)や音響監督のはたしょう二さんと相談しながら、塩梅を調節して役作りをしていきました。なので、僕自身の中では印象の変化はないですけれど、物語が進むについて壬氏を覆っていたベールが一枚一枚剥がれていくような感覚がありました。第2期の最後は、もう解放されすぎなくらいでしたね(笑)。それに伴って、彼への理解がだんだんと深まっていったような気がします。
桐本 僕も事前に羅漢がどういう人物かを知った上で、最初にどう見せたらのちに一番面白くなるかを逆算して作っていったので、印象が変わったというより、先を見据えながら変化させていったという感覚ですね。彼の印象がひっくり返るところにエンタメ感を出したいと思っていたので、それまではできる限り怪しさを出しつつ、でも怪しいだけではないところも匂わせつつ、という塩梅を意識していました。
これは今となっては笑い話なんですけど、長沼監督と初めて会ったときに「この役は変人です」と言われたんですよ。でも僕はそのときものすごく緊張していたので、それを「変態」と聞き間違えてしまって……。しばらくそのすれ違いに気づかないまま進んでいた、ということもありましたね(笑)。
第2期では「自由にやってください」と言うことだったので、より振り切ってやらせていただいています。

――大塚さんから見たら羅漢、桐本さんから見た壬氏の印象も教えてください。
大塚 僕は羅漢がとても好きなんですよ。いろいろな人にとって面倒くさい人ではあるんでしょうけれど、その実すごく愛情深い人で。鳳仙への愛はもちろん、第19話の蒼穹檀でのシーンは猫猫への想いもすごく感じられました。軍師としてすごく頭のいい人で変人ではあるけど、自分の守りたいものへは感情が動く人だと感じています。

桐本 僕から見た壬氏は、掛け合っていて楽しい相手ですね。壬氏というより大塚くんのお芝居の話になってしまいますけど、大塚くんはピシッとしたキレのいい球を、ストライクゾーンにドーンと投げ込んでくる印象があって。でもその中にときどき変化球も入っていて、とても心地いい球を投げてくれるんです。だからこそ僕はあえてそれとは変えて、ふわっと投げてみたり、別なところに投げてみたり(笑)。そういう違いをつかみ合って掛け合えたことが、僕はすごく楽しかったです。
大塚 ありがとうございます。壬氏として羅漢と掛け合いをしていても、桐本さんのおっしゃる通り、投げかけた言葉を羅漢がまっすぐ返してこないのを感じていました。壬氏と羅漢が相対しているのは壬氏の仕事場なんですけれど、羅漢が醸し出す空気感によってそこが“壬氏の場所”じゃなくなっていくような感覚になるんです。その空気に乗って掛け合いをできることが、僕もとても楽しかったです。
――お二人は、壬氏は羅漢のことを、羅漢は壬氏のことを、それぞれどのように思っていると感じますか?
桐本 羅漢的にはやっぱり「娘にちょっかいを出していて、なんじゃこいつは!」という感情が強いと思います。象棋勝負のときも猫猫に触れた回数をわざわざ数えていて、もう親バカ丸出しですよね(笑)。でもそれだけではなく、壬氏の複雑な事情も素性もわかっているからこそ、いろいろと考えを巡らせている部分もあるのではないかな、と。壬氏の顔が「仕」という字に見えているので、一応能力を認めてはいると思いますが、私情では「この野郎~!」と思っている、そのギャップが面白いですね。

大塚 壬氏は極力関わりたくない相手と思っていると思います(笑)。もちろん羅漢の有能さは認めているけれど、それはつまり一歩間違えたら自分の立場も脅かされる可能性があるということですし、会話していても常に腹の探り合いを強いられるので、扱いづらい人という印象が強いのではないでしょうか。そしてなんといっても猫猫の実の父親なので、今後もし壬氏が猫猫ともっと先に進みたいと思ったときに、一番の障害になるのはもしかしたらこの人なんじゃ……とも思ってしまいますね。
桐本 いやいや、もしかしたら一番の理解者になるかもしれないよ?
大塚 なりますかね……? そのあたりはどうぞ今後の展開をお楽しみに!(笑)
――壬氏と羅漢が出演されたエピソードについて、収録の思い出やお気に入りのシーンを教えてください。まずは、壬氏の執務室で壬氏と羅漢が掛け合った第15話、第16話について。
桐本 壬氏に対してふっかけていくシーンがとても印象に残っていますね。あのシーンの羅漢はまるで酔っ払いみたいに、のらりくらりとつかみどころのない態度で。僕自身も、どうやって壬氏を揺さぶってやろうかなと考えるのは楽しかったです。

大塚 桐本さんは本当にお酒を飲んでいるかのように演じられていましたよね。それがのちに「実は羅漢は下戸で、飲んでいるのはジュースだった」というところに繋がっていて、面白いなと思いました。
あと、羅漢のシーンでは毎回感じることですが、言葉の選び方が印象的だな、と。例えば猫猫のことを猫猫とは言わずに「油揚げ」と表現したりと、本音をはっきりと言わない言葉選びはこの二人の関係性だからこそわかるやりとりだなと思います。

桐本 鳳仙を貶めるように言っていた「妓女の価値を下げる」という発言も、実際の本音ではないでしょうしね。あのセリフも、どういうふうに言ったら後に繋がるいい布石になるかをすごく考えた印象的なセリフでした。あと、さっき言った変態度をここで出してみようと思って、しゃくり上げるような笑いを入れてみたんです。最初は受け入れてもらえるか不安でしたが、長沼監督やはたさんが許容してくれて嬉しかったですね。
――第23話、第24話は完成映像でご覧になった感想はいかがでしたか?
桐本 泣きました。絵や演出の力も相まって、とても心に刺さるいいエピソードに仕上がってましたね。特に羅漢に雨が刺さるような描写が印象的で。あそこはやり手婆もいいんですよ。(やり手婆役の斉藤)貴美子と一緒に録ったんですけど、「貴美子、いい芝居するなぁ」と心から思いました。
大塚 第23話、第24話は僕も大好きなエピソードです。第1期のとき、長沼監督が「愛をテーマに作っている」とおっしゃっていたのですが、まさに純愛ですよね。ちょっとしたすれ違いでああなってしまったけど、ずっと同じ人を想い続けていて、たとえ姿かたちが変わろうとその想いを貫くという愛の形は、とても尊いなと思いました。

桐本 「尺は関係なく、自分の気持ちを動かしてやってください」と言ってくれたのも大きかったですね。第24話の「碁をやろう」のシーンも大好きです。素顔を隠すものも、背負っているものも何もない、ただただ素直な羅漢があそこにはいたと思います。

――第44話では、羅漢が壬氏に禁軍を動かすよう進言するシーンが印象的でした。
桐本 羅漢の軍師というモードが一番発動したシーンだったと思っています。「娘を救いに行かなければ」という気持ちももちろんありますが、軍師としては相手がたとえ上の位の人であろうと、私生活でいろいろな思いがあろうと、言うべきことは言わねばならない。その使命感が大きかったんだろうと思います。
大塚 「半端な宦官野郎のままで何ができるというんです」という羅漢のセリフは、かなりラインを踏み越えた発言でもありますよね。

桐本 そうだよね。でも、その直後に羅門が来てくれて。あんなふうに諫められたらそれ以上怒れなくなりますから、おかげで羅漢もすぐ冷静に切り替えることができたのかなと思います。すごく差の作り甲斐がある、いいシーンをもらえたなと思いました。ちなみに、羅門役の家中宏さんは僕にとっても劇団の先輩でして、実際に怒られたこともあるので、そういう意味で僕の中の臨場感も非常にあったシーンでした(笑)。
大塚 壬氏としてはあのとき、自分の立場と猫猫への想いが自分の中でくすぶっていて、一歩を踏み出すきっかけだけがなかった状態だったんだと思います。それが羅漢の言葉によってようやく覚悟を決めることができた。オンエアを観たらまるで劇場版のような仕上がりになっていて、感動しました。

――ありがとうございました。最後に、ファンの方へメッセージを!
桐本 『薬屋のひとりごと』は観れば観るほど新しい面白さが見つかる作品だと思っています。続きが描かれたときに、「あのときのあれがここに繋がるのか!」という発見がきっとあると思いますので、その楽しみを追いかけるためにも、何度でも繰り返し観ていただけたら嬉しいです。
大塚 振り返り上映会にいらっしゃる方はぜひ画面の隅々までご覧いただき、『薬屋のひとりごと』を劇場で観られる贅沢な時間を楽しんでいただけたらなと思います。第3期や劇場版もスタッフの皆さんが愛をもって制作に臨んでいると思いますので、引き続き『薬屋のひとりごと』をよろしくお願いします。
▼振り返り上映会の今後の日程
3月14日(土) 第13話「外廷勤務」~ 第18話「羅漢」
3月28日(土) 第19話「偶然か必然か」~ 第24話「壬氏と猫猫」
4月12日(日) 第1話「猫猫と毛毛」~ 第6話「みたび、水晶宮」
4月26日(日) 第7話「選択の廟」~ 第12話「華瑞月」
5月10日(日) 第13話「湯殿」~ 第18話「鬼灯」
5月24日(日) 第19話「祭り」~ 第24話「はじまり」
▼振り返り上映会詳細はこちら
https://kusuriyanohitorigoto.jp/season2/special/screening.php